ハイビスカスの幕開け
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新首都東京 第五階層 ライジングゼロ社新東京支部 2045年5月17日 仏滅 十三時直前。私達は装備の再確認を行っていた。 「あれ、私の 四角いコンテナが車体後方に接続されている。 <<チームカキツバタ、 装備の確認を終え、警察課の皆がズラリと整列する。 「お前ら、一つだけ言わせてもらおう。これから俺たちは重要な作戦に参加する。このひと月の連続したテロ行為は全てCDE社によるものだった。何故か? それを考える必要はない。それを考えるのは作戦が終わってからの事だからだ。俺たちは生まれも育ちも皆バラバラだが共に悪に戦い、そして勝利してきた。だが今回の作戦はサイボーグとの全面戦争になるだろう。俺たちはサイボーグに比べちゃあまりに非力だ。死ぬかもしれない。全員遺書は書いてきたか? 思い残すことはないか?」 私は手を挙げて元気よく返事する。 「はい! 録画でたまった番組が残ってます!」 皆が一斉に笑い始める。 「そうだ、俺たちにはまだやることがある。今日は大事な一日かもしれねえが人生に比べりゃ些細な一日だ。俺たちは守りたいものがある。それは市民、友人、そして家族だ。だから俺たちは負けられない、負けちゃいけない。俺たちは今できることをやって笑って明日を迎えようじゃねえか。さあ、 全員が敬礼し、それぞれの白バイに乗っていく。 「どうしたの? 精神統一?」 私は <<~~~♪>> 仲間の誰かが口笛を吹く。 「~~~♪」 アトラも歌い始める。 <<なんだ、皆歌い始めやがって、俺も歌うぞ!>> 課長も歌い始める。気が付けば大合唱だ。 <<そろそろ上昇路だ、トンネルを出たら敵地だ、行くぞ>> 長い一日になる。 新首都東京 第六階層 ヴァーチャルリゾートエリアハイウェイ 2045年5月17日 仏滅 第五層に突き刺す一筋の光を見届けた後、長いトンネルに入り、第六層へと入る。ここからは時速百キロを超える戦いだ。傷つくことは許されない。 <<カキツバタ! 後ろに三両!>> アトラは左を背にして座り、背中に持っていたライフルでチョッパーのエンジン部を射貫く。 「ありがとう」 残り一両を見ると、後続の仲間がエンジン部に攻撃して撃退していた。 「ナイスサポート!」 一両じゃどうにもできないと思ってたところだった、サポートが一人いるだけでも助かる。そう言ってると前にバリケードが阻む、まだ距離が遠いので左に移動し、後続車も左に移動する。どうやらバリケードがこの先もあるようだ、隙間を縫いながらバリケード帯を抜けていく。 <<前方に戦車だ、まだ射程外だ、ミサイルを使え>> ミサイルの発射ボタンを押すと、後ろのコンテナが開き、バイクより速いスピードで戦車に向かっていく。大きな花火を上げ弾け飛ぶ。 <<横より車両!>> 左右の真横に一台づつ、挟み撃ちだ、まずい。 <<前にサイボーグの集団がバリケードを作って封鎖している!>> 機銃のボタンを押し、前方に機銃掃射する。横からミサイルが飛んでいく、どうやら仲間が発射したミサイルだ。正面のバリケードをサイボーグごと破壊し、バリケードの間にできた隙間に私達は潜り込む。 <<俺はここまでだ! 先を急いでくれ!>> 仲間がバリケードに阻まれ離脱する。 「アトラ!!」 アトラはライフルで複雑な機動を取るミサイルを撃ち抜く。 「 ミサイルに相手が予測不可能な機動を取らせ、迎撃を困難にさせる。ヘリの後ろに回り込んだ後、ヘリの真下にミサイルを行かせ、そのまま上にぶち当てる。ヘリが墜落、炎上する。デカい黒煙が出るが、天井から雨が降りすぐに消火が始まる。 <<後方から反応! このスピードは……攻撃機だ! 攻撃機が向かっているぞ!>> 慌てて後ろを振り向く、豆粒みたいなサイズだがこちらに向かってくる奴が見えた。 「げぇぇぇぇぇぇ!? A-10J!!」 ミサイルが迫ってくる。ミサイルはアトラはどうにか処理出来ているが、攻撃機本体となると話は別だ。大体徹甲弾や榴弾耐えるんでしょ? バイクに積めるサイズのミサイルや機銃じゃ勝てないよ。 「アトラ!?」 私が蛇行運転する中、エンジン部を狙撃するそうだ。一瞬でも良いから直線で走らないと……。 「肩借りるよ」 肩に対物ライフルを乗せられ、私はそれと同時に速度を急激に落とす。攻撃機は私達を追い越す。 <<一両抜けたぞ!>> 私はバイクのミサイルを二発撃って前方のビルのバリケードの破壊を試みる。一度CDE本社ビルに入ってしまえばバイクのミサイルは不要だし、コンテナもおまけで撃ってしまおう。 「アトラ! ミサイル全弾使うよ!」 ミサイルがバリケードに向かって鳥のように飛んでいき、そしてバリケードを粉々に粉砕し、奥のドアやサイボーグ兵も炎上させる。徐々に速度を下げ、バリケードの前で停車する。 「おまけで撃ったのが効いたみたい」 そう言ってると背後に倒れているサイボーグ兵がライフルを上に持ち上げてくる。 「アトラ危ない!」 私は拳銃を抜きライフルを持つ手に向けて発射する。 「ぎゃぁ!!」 相手の腕が吹っ飛びライフルが弾き飛ばされる。 「危なかった……三波ありがとう」 私達はビルを正面から入り、エレベータのボタンを押す。 「うーん、使えないか?」 そうして待っているとウルフからハッキング官僚の報告を受け、エレベータが使用可能になる。 「ここまで強化兵が出てこないわね……十三階になったらいるのを覚悟しないといけないかも」 十三階に着く。私達はエレベータを後にした。 |
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2020/05/07 2020/06/09:サイト掲載 |